獅子座の神話
浮気者の大神ゼウスは、王女アルクメネ(人間の女性)の美貌に魅せられます。

ある日、アルクメネの夫が旅で留守の時、ゼウスは、アルクメネの夫の姿に身を変えて近づきました。

そして、アルクメネは変身したゼウスを夫と思って、何も疑っていませんでした。
そして、ゼウスとアルクメネが寝室に入ると、ゼウスは3日間も太陽を昇らせずにアルクメネと過ごしました。

その時に生まれたのが、後の英雄となる『ヘラクレス』です。

しかし、ヘラクレスは嫉妬深いゼウスの正妻ヘラに大変、憎まれていました。

ヘラは、ヘラクレスが赤ん坊の時に揺り篭に2匹の毒蛇を入れて、殺そうとします。
しかし、ヘラクレスはニコニコと笑いながら、片手で毒蛇を握り潰してしまう程の怪力を持っていました。

ヘラの悪巧みを知ったゼウスは、ヘラを眠り薬で眠らせて、ヘラの乳をヘラクレスに吸わせて、不死身の体にしてあげました。


(ヘラの乳を吸うヘラクレス)

この時、ヘラの乳首からほとばしり出た乳が天に昇り、『天の川』になりました。
そして、地に落ちた乳が、白い百合の花になったのです。

西洋では、天の川は『乳の川』Milkey Wayと呼ばれています。

ヘラクレスは、ケイロンというケンタウロス族の下で武術などを学んで、やがてテーバイ国の王女と結婚して3人の子供を授かります。

しかし、ヘラの呪いで錯乱したヘラクレスは、愛する妻子を自分の手で殺してしまいました。

この大罪を償う為にヘラクレスは、神々の命令により、アルゴス国王に仕えて、12の荒行を命じられて、冒険する事になったのです。

ヘラクレスの最初の相手となるのが牛や羊や人間までも食い殺す、獰猛な『化け獅子』退治でした。

ネメア森のゼウス神殿の近くに、その一頭の巨大な化け獅子は潜んでいました。

上半身が女で下半身が蛇の怪物:エキドナから生まれた魔性の猛獣です。

化け獅子を見つけたヘラクレスは、弓矢とカンランの大木で作った棍棒で獅子に挑み闘い始めました。

遠くから矢を放つも、獅子の皮膚は鋼鉄の様に硬く、矢を事々く跳ね返してしまいます。
そこで、今度は棍棒を取り出して、獅子の頭めがけ振り下ろしました。

しかし、化け獅子は全くひるまずにヘラクレスに組み付いて、棍棒も折れてしまう程でした。

暴れ疲れた化け獅子は、通り抜けられる洞窟に逃げ込みます。
ヘラクレスは、洞窟の出口の1つの巨石を動かし塞いでから、他方の入り口から獅子を追い詰めて、獅子の首を両手で絞め付けました。

力には自信のあるヘラクレスも逃げる事なく、獅子の鋭い爪に体を引っ掛かれても、獅子の首を絞める力を緩めずに三日三晩の間、ずうっと首を絞め上げて、とうとう獅子を窒息死させて、倒す事に成功しました。

こうして、無事に化け獅子を退治したヘラクレスは、化け獅子の頭を被り、皮を身にまとい凱旋しました。

化け獅子の皮は、その後も常にヘラクレスの肩に掛けられていた為にヘラクレスのシンボルにもなっています。

後にヘラクレスが、ケンタウロスのネッソスの呪いによって、火中に身を投げて死んだ時にヘラクレスの偉業を讃え、ゼウスが化け獅子を天に上げて、星座にしました。

獅子座は、ヘラクレスに倒された化け獅子の姿なのです。




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