幻の巨大ゼウス像

パルテノン神殿のアテナ像を制作した古代ギリシアの彫刻家フェイディアスは、ゼウス神を万人が称えるべく、綿密な計算に基づいて、ゼウス像を作り上げた。

ゼウス神殿が建造され時は、ゼウス像は神殿の奥に収められた。
その全幅は、神殿の通路の幅とほぼ同じだった。

ゼウス像は、高さ90cm×幅66mの大理石製の台座の上に玉座に腰掛ける姿で作られていた。
ゼウス像の大きさは、台座を含めると高さ12mで天井に届く程の大きさであった。

紀元前1世紀の地理学者ストラボンは、記している。

『もし、ゼウス像が立ち上がったら、屋根を突き抜けてしまうだろう』

頭上には、金製のオリーブの小枝をあしらった冠を被っていた。
右手には、勝利の女神ニケの彫刻を持ち、左手には、鷲が止まった錫杖を持っていた。
そして、玉座に座って、足には黄金製のサンダルを履いていた。

本体は、木製で肌の部分には象牙が使用されて、黄金が貼り付けられた。

衣服の獣と白い百合模様をあしらった部分にも、黄金が貼り付けられて、様々な宝石、黒檀、水晶などで装飾された。

玉座も同様に金、象牙、黒檀、宝石で装飾されて、使用された黄金の総重量は、約1トンであった。

また、ゼウス像の表面のひび割れを防ぐ為にオリーブ油のプールの中に設置されて、オリンピアの神官達によって、絶えず油が塗られていた。

フェイディアスは、ゼウス像を際立たせる為に素晴らしい工夫を取り入れた。
神殿には、照明となる採光窓を造らず、松明などの照明器具も一切排除して、入口から入る光だけにしたのである。

また、。神像の前に池を掘って、池の底と周囲に黒大理石を敷き詰めて、池の中にはオリーブ油を混ぜた水を張った。
こうする事によって、唯一の採光口である入口からの光が池の表面のオリーブ油に反射して、ゼウス像を照らし出すのである。
ライトアップされたゼウス像は、暗い室内の中で荘厳な雰囲気を持った生き生きとした像になって見る者を圧倒したという。

紀元前2世紀のローマの将軍マケドニクスは、マケドニアを征服した際にゼウス像を見物して、余りの神々しさに強い畏敬の念を感じたという。

世界の7不思議を記したフィロンは、ゼウス像について述べている。

『人は他の6つの不思議には、目を見張るだけだが、この不思議の前では、畏怖に打たれて跪く。
ゼウス像は、余りに神々しく、人の手で造られたとは、信じられないからである』

建造から、800年後の394年、4世紀末にゼウス像は、オリンピアからビザンツ帝国の首都コンスタンティノ−ブルに移された。

長い歴史の中でゼウス像は消失してしまい、現在は破片も残っていない。
ゼウス像がどうなったか?については様々な説がある。

🔷️4世紀末にコンスタンティノープルに移設された後、475年に起きた大火によって焼け落ちた。

🔷️5世紀までオリンピアにあったが地震によって損壊した。

🔷️ローマ皇帝の出した異教禁止令によって破壊された。

その後の消息は不明で、恐らく焼失したものと考えられている。

例えゼウス像が残っていたとしても、その後オリンピアを襲った天災の時に神域と同じ運命を辿るであろう。

オリンピアは、6世紀に地震と地滑りの天災を受け、神域は荒れ果て、最終的には、付近のグラデオス川の氾濫によって、神域全体が泥に埋もれてしまった。

その後、オリンピアの神域は19世紀に発掘されて一部復元された。

1958年にゼウス像の建造に使用されたと考えられる工房が発見された。
この発見によって、ゼウス像の全容解明が進められている。



オリンピックの由来

古代ギリシャ人は、ゼウス神殿の跡地を中心に宗教行事として、オリンポスの主神ゼウスを筆頭に他の神々を崇める為に壮大な競技場を建築して、体育や芸術の『オリンピア祭典競技』を4年毎に1度開催した。

これが古代オリンピックの起源である。

また、ギリシャ神話での祭典競技の起源には諸説ある。

■トロイア戦争で死んだパトロクロスの死を悼む為にアキレウスが競技会を行った。
これが『オリンピア競技祭典』の由来である説

■約束を破ったアウゲイアス王を攻めた英雄ヘラクレスが勝利後にゼウス神殿を建て、4年毎に1度競技会を行った説

現存する遺跡や考古学的な研究によって、当時のオリンピア地方で行われていた『オリンピア祭典競技』を含めて、他地方で行われていた祭典競技を含めた『四大祭典競技』が開催されていた事実が解明されている。




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