 天界に神々が生まれる以前の世界は、何も形の無いドロドロとした塊で、無限の空間であるカオス[混沌]、[混混乱]、[無秩序]という意味の状態でした。 このカオスより、生まれたエレボス(幽冥)、暗きニュクス(夜)、そのニュクスからアイテール(高天の気)、ヘメレー(昼光)らが、生まれて世界は始まりました。 そして、カオスから一番最初に生まれた原初神が、やがて万物の生みの親となる[大地の女神]=ガイアでした。 ガイアは、自らの力だけで[天空の神]=ウラノス、[海洋の神]=ポントス、[暗黒の神]=エレボス、[愛の神]=エロスを生みます。 ガイアは、我が子[愛の神]エロスの誘いで、我が子[天空の神]ウラノスと結婚します。 そして、ガイアはウラノスを夫として、我が身を隙間なく被わせました。 この２人の合体によって、地上に木,花,鳥,獣を生み出しました。 ウラノスが雨を降らせて、海や湖が出来ました。 そして、ガイアは、永遠の命を誇る、｢不死なる神｣を、次々と産み始めたのです。 ウラノスとの間に生まれた神々は、初めは皆、異形の形をした神々ばかりでした。 ■三神の百手巨人ヘカトンケイル ■額の真ん中に一個の目を持つ、三神の巨人キュクロプス そして、雷鳴/雷光/閃光を産みます。 この者達は、怪力を持ち合わせた恐ろしい存在であった為、父ウラノスは生まれて来ると、直ぐに子供達を縛りあげて、ガイアの遙か奥深い【冥界タルタロス】に閉じ込めてしまいました。 この後にも、ガイアは、山や大海原のポントス、ティタン神族と呼ばれる神々を産みました。 ■男神では、オケアノス/コイオス/イアペトス/ヒュペリオン/クレイオス/クロノス ■女神では、レア/テミス/ポイペ/テテュス/ティア－/ムネモシュネ/ディオネを産みます。 この神々は、異形ではなかった為に幽閉される事もなく無事でした。 しかし、ガイアは、異形の子供たちを幽閉させた、夫ウラノスに対して、怒りを持ち続けていました。 そこで、ガイアは、アマダス[鋼鉄]の大鎌を作成して、子供達に対して、この大鎌で父ウラノスへの仇討ちを求めました。 しかし、子供達は父ウラノスを恐れて、尻込みするだけでした。 その中で、末子クロノス自らが、仇討つ役を買って出ました。 ガイアは、ウラノスとの待ち合わせの場所へ、息子クロノスを隠し持って行きます。 夜になって、夫ウラノスがやって来て、ガイアの上に覆い被さる瞬間、クロノスは大鎌で、父ウラノスの男根を切り取ってしまいます。 この事でウラノスは、大地ガイアと永遠に分離する事になったのです。 クロノスの行為によって、ガイアの胎内に閉じ込められていた子供達は、次々と解放されて、出て来ました。 天と大地を切り離して、世界に時間と空間とを創り出したクロノスは、神々の主神となったのです。 クロノスは、切り取った父ウラノスの血のほとばしる、男根を背後に投げ捨てました。 その時、滴る血が大地ガイアの下に落ちて、力強い[復讐の女神]=エリュニスが生まれます。 また、煌めく鎧を付け、長槍を手ばさんだ巨人ギガスが生まれました。 男根その物は、海であるポントスの上に落ちて、やがて周囲に泡のアフロスが漂います。 この泡から、生まれ出た女神が[愛欲と美の女神]=アフロディテです。 父権を奪い、父を王座から追い落としたクロノスは、冥界タルタロスから、異形の兄弟の神らを救い出しました。 しかし、父ウラノスは息子クロノスに対して、言い残したのです。 「その所業の報復は、後にやって来よう」 それは、父と同じく、己の息子により、いつの日か、打ち倒される運命を自分で作ってしまった…｡と、いう予言とも警告とも取れる言葉をクロノスに与たのです。 父の言葉を聞いたクロノスは、恐れおののき、折角、自らの手で解放した異形の兄弟である単眼巨人キュクロプス、百手巨人ヘカトンケイルらを、再び冥界タルタロスに閉じ込めてしまいました。 そればかりではなく、姉のレアとの結婚で生まれて来た後の神々となる子供[海の神]=ポセイドン、[冥界の神]=ハデス、[釜戸の女神]=ヘスティア、[穀物の女神]=デメテル、[結婚の女神]=ヘラの５人、全てを自らが呑み込んでしまいます。 父ウラノス同様に暴君と化したクロノスの事を聞いたガイアは、末子ゼウスを身篭っている、レアに助言を授けます。 レアは、ガイアの助言通りに秘そかにクレタ島へと渡ります。 そして、ディクテ山の洞窟でゼウスを生むとニンフ[妖精]達に養育を頼み預けて、再びクロノスの元へと戻りました。 レアは、程よい大きさの石を産着で包んで、生まれた赤子と偽って、夫に差し出すとクロノスは、何も疑わずに呑み込みました。 牝山羊のアマルテイアがゼウスの乳母にあたりました。 後にゼウスは、乳母アマルテイアを山羊座にして功績を讃えています。 また、ニンフ達もゼウスに牝山羊の乳を飲ませたり、ハチ蜜を与えて世話を続けます。 クレテスという青年神たちは、洞窟の外で熱狂的に踊り、武器を打ち鳴らしては、赤子ゼウスの泣き声が、クロノスの耳に入らないように配慮していました。 洞窟で乳母とニンフ達に養われたゼウスは、逞しい男に成長すると、父クロノスに仇討ちする決意を固めました。 ゼウスは、最初の妻[知恵の女神]=メティスから、知恵を貰います。 神酒ネクタルに塩と辛子と蜂蜜を混ぜた催吐薬を入れて、クロノスに飲ませました。 すると、クロノスは、レアが騙して与えた石を吐き出すと、次々と５人の子供達を吐き出しました。 ゼウスは、呑み込まれていた兄弟達と協力して、父クロノスに立ち向います。 クロノスは、自分の兄弟/姉妹のティタン神族を味方に付けて、応戦する構えをみせます。 こうして、神界は、二分されました。  ゼウスらは、オリンポス山に立てこもり、父クロノスとの間に10年戦争が始まりました。 対するクロノスも、兄弟である巨神ティタン達と共にオッサ山に立てこもり、10年もの歳月を戦い続けます。 しかし、強烈な戦闘力と団結力を持つクロノス率いる、ティタン神に苦戦を強いられていたゼウスとクロノスの横暴を見かねて、大地ガイアはゼウスを呼び寄せて、予言を授けます。 「クロノスの手により、再び冥界タルタロスに幽閉されている単眼巨人キュプロス、百腕巨人ヘカトンケイルらを解放して、味方に付ければ、勝利は間違いない」 ゼウスは、直ぐに冥界タルタロスに赴き、番兵のカムペを殺して、不気味な容貌と絶大な攻撃力を持つキュクロプスとヘカトンケイルをタルタロスの地獄から解き放ち、彼らを味方に付けました。 鋭く光る一つ目を持つキュクロプスは、その粗雑で凶暴そうな外見とは裏腹に、手先が非常に器用な怪物。 強力な武器を鍛える超越的な能力を持つ『鍛冶の神』であるとされます。 キュクロプスは、自分達を地獄のタルタロスの暗黒から、救い出してくれたゼウスの為に、雷鳴･雷光･閃光を自在に操る事の出来る、世界で最強の破壊力を持つ『雷の矛(雷霆)』を贈呈します。 この雷の矛は、瞬時にして、雷雲を呼び寄せて、雷電を敵に落とす事が出来るだけでなく、強烈無比な火炎と電撃を帯びた矛として、用いる事の出来る最強の武器でした。 鍛冶の技能の天才であるキュクロプスは、ハデスに『隠れ帽子』という、自らの身体を消せる秘宝を与えます。 ポセイドンには、一振りすると大洋の波が湧き立ち、伏せると波が収まる『三叉の鉾(ほこ)トライデント』という、強力な武具を贈呈しました。 天空と雷の神となったゼウスが、キュクロプスが鍛錬した雷の矛を振るえば、一瞬で海や河川が沸騰する程の威力を発揮しました。 更に百本の腕を持ち、怪力無双を誇るヘカトンケイルは、巨大な岩石を次々と持ち上げて、ティタン神に投げ付けました。 ゼウス三兄弟とオリンポスの神々、ヘカトンケイルに休む間もなく攻撃され続けたクロノスとティタン神族は、ヘカトンケイルの投げた岩石に押し潰されて、身動き出来なくなります。 ゼウスらは、強力な武器を振るって戦争を有利に進める事が出来ました。 そしてゼウスは、ティタン神をまとめて冥界タルタロスに幽閉して、百腕巨人を牢番にします。 巨人族のアトラスは、ゼウスに刃向かった罰として、天を支える事を命じます。 こうしてゼウスは、戦いに勝利を収めました。 この戦いを『ティタン戦争』と呼びます。  【ティタン戦争】 かつて世界を支配していた父クロノスは、父ウラノスとガイアの予言が現実のものとなって、自分の息子ゼウスから取って代わられる事になったのです。 ゼウスは、オリンポスの神々から、王位を受けるように懇願されて、世界の最高権力者として、君臨する事となました。 そして、兄弟である、ポセイドンとハデスと共に、世界の分割統治をクジ引きで分け合う事にします。 🔵ゼウスは、天空界 🔵ポセイドンは、海界 🔵ハデスは、冥界 こうして、ゼウスを主神とする、オリンポスの時代が始まりました。 ゼウスは、オリンポスの山頂に不死である神々たちの壮麗な宮殿を構えて、神食アンブロシアを食べ、神酒ネクタルを飲んで、絶える事のない饗宴の日々を過ごす事となります。 しかし、オリンポスの神々の地位も安泰なものではありませんでした。 大地ガイアが、我が子クロノスらが滅ぼされたのを憤って、ゼウスらに復讐するべく、怪物テュポンを生み出しました。 テュポンは、頭が百あってライオンの様に吼えて、目から火を吹き出す恐ろしい大蛇でした。 その余りに怖ろしい姿を見た神々は、恐怖のあまり、我先にと姿を変えて逃げ惑いました。 🔵アボロンは烏 🔵ディオニソスは山羊 🔵アルテミスは猫 🔵ヘルメスは鳥 🔵ヘラは牝牛 🔵アフロディテとエロス親子は魚に変化して逃げました。 🔵ゼウスは牡牛に変身して、エジプトまで逃げて行きます。 それ以来、彼は曲がった角を持つ神牛アンモンとして、エジプトで崇拝されます。 一旦逃げ出したゼウスは、思い直して一人で怪物テュポンとの戦いに挑みました。 しかし、テュポンによって、武器と手脚の腱を奪われてしまい、洞窟に閉じ込められてしまいます。 このゼウスの危機を知ったヘルメス神とパ－ンの救済によって、武器と腱を取り戻したゼウスは、テュポンに雷電を投げ付け、ひるんだ所に大きな山を投げつけて、シチリアのエトナ火山の下敷きにしてしまいました。 この山が、現在のシチリア島のエトナ火山です。 テュポンが退治されてから、暫くはオリンポスには、平和が続いていました。 しかし、今度は、ギカンテス(※英語でジャイアント)、(単数ではギカ－ス)、巨人たちが攻め寄せて来ました。 この巨人たちは、ウラノスに退治された際、その時、流れ出た血が大地にしたたり落ちて、生まれた巨人でした。 大地ガイアは、この巨人たちを北ギリシアの洞窟内で密かに育てていたのです。 「いつか、巨人たちがオリンポスに攻め寄せて来て、神々が危機に陥る」 かつて、プロメテウスが予言した事でした。 ギガンテス達は、フレグラ山を越えて、オリンポス山へ猛烈な攻撃を加えて来ました。 大地ガイアも大きな口を開けて、火を吹き、盛んに巨岩を投げ付けて来ます。 山は裂けて、大地は震えおののき、オリンポス方は、苦戦を強いられました。 優勢なギガンテス方の大将アルキオネウスは、勢い付き叫びました。 「さぁ、時が来たぞ！ 神々どもをオリンポスから、引きずり落として、我々、巨人の仲間(ティタ)がされたようにタルタロスの地獄へ、落としてしまえ！」 その時、ゼウスは、プロメテウスが言った予言のような言葉を思い出しました。、 「神々は、人間の助けがなければ、巨人たちを負かす事は出来ない」 ゼウスは、娘アテナを使いにして、ヘラクレスを呼び寄せました。 既にヘラクレスは、12もの難題をやり遂げて、ギリシア１番の英雄となっていました。 戦場に駆け付けたヘラクレスは、第一にギガンテス方の大将アルキネウスを毒矢で射て倒した。 ところが、大地に倒れると同時にアルキネウスは、生き返って、前にも優る勢いで攻めて来ます。 アルキネウスは、何度、殺されようとフレグラの土に体が触れると同時に生き返るという能力を備えていた。 それを見た女神アテナが、ヘラクレスに助言を与えた。 「あの巨人は、フレグラの土地より、外に連れて行って、倒すしかない。 ここにいる限り、あの巨人は永久に死ぬ事は、ないのだから」 そこでヘラクレスは、アルキネウスを担いで国境を越えて、そこにアルキネウスを投げ落として、棍棒で何度も殴って倒した。 大将を失ったギガンテスたちは、総崩れになって来る中、巨人エピアルテスとオトウスの２人は、尚も暴れ狂います。 ペリオン山の上にオッサ山を積み上げて､オリンポスの頂上めがけて、よじ登って行きました。 そして、軍神アレスを真鍮の壷に閉じ込めてしまいます。 巨人たちにヘラとアフロディテが捕まり、連れ去られ様とした時、二人の女神は悲鳴を上げて助けを求めます。 この２人の巨人は、同じ巨人の手でなければ、殺す事が出来ないので、神々もヘラクレスもどうする事も出来ずにた。 しかしゼウスは、２人の巨人が力こそ強いだけで、知能が足りない事に気づいて、叫びました。 「勝った方にアルテミスをやるぞ!」 ２人の巨人は、若く美しいアルテミスを手に入れようと猛烈な同士討ちを始めました。 その時、アルテミスは一羽の鳩に身を変えて、２人の真ん中にさっと飛び込んだのです。 ２人の巨人は、鳩を仕留めようと互いに槍を投げつけました。 鳩は、素早く身をかわして逃げた為、槍は互いの相手の胸を突き刺して、２人の巨人は倒された。 これを見たギガンテスたちは、蜘蛛の子を散らす様に逃げ始めた。 ヘラクレスと神々たちは、力を合わせて追いかけて、ギガンテスト達を１人残らず滅ぼした。 最後に残った巨人エンケラデスは、海を越えてイタリアへ逃げようとした所、女神アテナによって、山の下敷きにされた。 それでもエンケラデスは生きていて､今でも山の下から火を吹き上げる、有名なベスビオ火山とされている。 こうして、オリンポスには平和が戻り、神々の支配が各個たるものとなったのです。 そして、ヘラクレスは、この戦いの帰途で後妻の疑念により、命を落とす事になった。 ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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