蜘蛛にされたアラケネ
【機織をするアラクネ】

女神アテナは鎧かぶとを付けた戦いの女神です。
彼女は自分から戦う事は好まず、に自国を守る為の戦いをして来きました。
彼女は現在のアテネ市の守護神として崇められて知恵や理性を司どり農業や手芸の守護神でもありました。

アクアポリスのパルテノン神殿はアテナに捧げられたものです。
彼女の神木はオリ−ブでふくろうは彼女を象徴するものとして知られていました。

オリンポス12神の中でアフロディテの夫ヘパイストスが鍛冶の名人として名声を高めたようにアテナは機織りでは誰にも負けない程の技術を持っていました。

小アジアのコロポンという街にアラケネという娘がいました。
父イドモンは染め物の名人として知られて、アラケネは機織りにかけては右に並ぶ者がいない程の腕前を持っていました。
彼女は自分の腕前を鼻にかけ自負していました。

「オリンポスの神々でも私の様な機織りは真似出来ない」

あらゆる工芸の守護神でもあるアテナも自分の織る布が人間には到底真似出来ない精巧で美しいものだという自負がありました。

アテナは老婆の姿に身を変えてコロポンの街に行きます。
そしてアテナはアラケネの慢心をいさめようとしました。

「人間になら幾らら喧嘩を吹っ掛けても良いが、女神とだけは張り合ってはいけない。
すぐに女神に許しを請いなさい」

しかしのぼせ上がったアラケネはアテナの忠告も聞き入れずに言い張ります。

「女神なんか怖くは無い。
もし女神がなさるというなら腕前を試してごらんなさい」

「その女神は来ている。
それならば織り比べをしてごらん!」

老婆に変装していたアテナは本来の姿に戻り現れました。
周りにいた人々は恐れ崇めたてもアラクネだけは堂々としたままで、アテナの言葉に自信満々のアラケネは躊躇せずに応じて来ました。

早速2人は機をすえて織り始めました。
虹色に煌めく糸や金糸銀糸の美しい糸を使って、互いに技術を出し尽くして競い合いました。
アテナはオリンポス12神と神に懲らしめられる人間の物語を描いた美しい布を織り上げました。
それはまさに神業でした。

しかしアラケネの方もアテナに負けない程の素晴らしい布を織り上げます。
彼女の布には神々と人間の女の恋物語が世にも美しく織り出されていました。

どちらが勝っているか見分けがつかない程に両方とも見事な素晴らしい仕上がりでした。
アラケネは神にも匹敵する程の技術を持っていたのでした。

アテナはアラケネの完璧に織られた布をズタズタに引き裂いてしまいました。

その後、アラケネは悲しみの余り自ら首を吊って命を絶ってしまいました。
それを知ったアテナの怒りは初めて溶けました。

アテナはアラケネの亡骸を抱え上げると魔法の水を降り架けました。
するとアラケネの姿は一匹の蜘蛛に変わりました。

そしてアテネは言いました。

「罪ある女よ
お前もお前の子孫たちも未来永劫こうして吊り下がってるがよい」

こうして巧みに糸を織る技だけが蜘蛛になったアラクネに残されました。



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