パンドラの箱

大神ゼウスは息子[鍛冶の神]ヘパイストスに「人間の女性を創れ」と命じました。

手先の器用なヘパイストスは、粘土をこねて女神に似た女性を作を創りました。

その女性に女神アテナが『知恵と機織の技術』を授けます。
女神アフロディテは、美貌を授けました。
アポロンは、美しい歌声を授けます。
伝令神ヘルメスは、好奇心と嘘を吹き込みましだ。

こうして、神々から様々な物を与えられた彼女の名はパンドラ。
『全ての贈り物』という意味の女性でした。

伝令神ヘルメスに導かれて、パンドラはゼウスの命令で、生物を創り出させた兄プロメテウス(先に考える者)、弟エピメテウス
(後に考える者)、考え無しに生物たちにあらゆる能力を授けた弟エピメテウスの下に連れて行きました。

エピメテウスは、兄プロメテウスから
「ゼウスからの贈り物は受け取るな」
と、忠告を受けていたのにも関わらず、パンドラの美貌に惑わされて、彼女を妻に迎え、暫く2人は幸せに過ごしていました。

しかし、パンドラの方が次第に退屈するようになります。

エピメテウスの家には、硬く封印された1つの箱がありました。
※ゼウスがパンドラの箱を持たせて、エピメテウスの下へ送った別説あり。

エピメテウスは、美貌の妻には甘かったが
「この箱だけは、絶対に開けてはいけない」と厳命していました。

この箱には、プロメテウスとエピメテウスの兄弟が地球上の生物を創造する時、彼らに不必要とされた災いが詰められていたのです。

ヘルメスから、好奇心を贈られていたパンドラはこの箱を開けて見たくてたまりませんでした。

ある日、パンドラは夫の留守を見計らって箱を開けてしまいます。

箱を開けた途端に中から病気、飢え、貧困、争い、犯罪、憎悪、嫉妬、老い。

パンドラが慌てて箱を閉めようとした時には、既に遅く、この世に不必要な物が次々と飛び出して来ました。

箱を開けるまでは、人間は平和に暮らしていたが、この時から、あらゆる災いに苦しめられる事になります。

パンドラは自分の犯した重大な過ちに涙に暮れました。
すかし箱の底に僅かな「希望」だけが残されていました。

この日から、人間達は生きて行く上で様々な災いに耐えなくてはいけなかったが『希望』が残っているから、絶望しないで生きて行けるようになったのです。


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