害虫対策1/1ﾍﾟｰｼﾞ目
長介は「月末に生活保護が１４万円はいるので、それからアパートを見つけて出て行く」と誓う。一ヶ月だけならと、了解する映理。夫は、家が貧しくて自分を医大に行かせるために、兄は大学進学を諦めて就職しなくてはならなかった、それを負い目に持っているので兄には強く逆らえないと言う。愛し合ってる二人の様子。エッチをしようとすると壁の向こうから聞き耳を立てているような音がする。さっそくイライラする映理。がまんがまん。また夫は夜勤が多く生活時間が不規則である。
不愉快な同居がはじまる。長介は仕事探し中というが、昼間からぶらぶらして仕事を探すそぶりも見せない。そしてパチンコばかり行っている。特に不愉快なのは長介の汚らしい食い方だった。食事中に人が食ってるのに、爪楊枝で歯を音を立ててせせったりして実に汚らしい。またかってにみんなの大皿なのに、ソースをドバドバかけたりして、料理を台無しにする。注意すると開きなおって逆ギレするだけ。大輔は残業が多いので、義兄と子供と３人きりの食事が多いので、不愉快さはなおさらである。にもかかわらず義兄は、大輔はいつも家にいないので、まるで自分と映理さんがほんとうは夫婦みたいだなどと悦に入って言う。子供にパパと言ってごらん、などと言う。その無神経さに怒り狂う映理。
ここで友人の美弥に愚痴を言うか。どうせならこっちの方で、夫と義兄の大学でのわだかまりの関係。仕事をしないでパチンコやって借金だらけになってブラブラしてることなどを会話で解説する。いいかげんな性格で仕事は何をやっても長く続かない。映理と美弥はサイクリング仲間で、ツーリング旅行の計画を立てている。なにやら、高級外国の自転車を買ったと自慢する映理。害虫義兄にむしゃくしゃするのはやめて、サイクリングで発散しようと決める。一ヶ月の辛抱だし。
家。夕方。自転車のメンテナンスをしようかしら、と見る自転車がない。すると壊れた自転車を引きずって義兄がやってくる。なにやら怒っている長介。勝手に自転車を乗って行ったのだ。長介の話。パチンコ屋の駐車場に鍵もかけないで止めていたら、いたずらされて壊された。と怒っている。悪いのはそんなとこの止めてる長介だと怒って言ってやったが、頭の構造がずうずうしいのでまったく理解できなくて、他人や映理のせいにする長介。このように責任逃れをして一生すごしてきたんだわ、とあきれる映理。しかし、それも月末までの辛抱、とこらえる。
月末になった。しかし、長介は生活保護のお金が入ったその足でパチンコに行き、全部すってしまう。一応、出が悪いパチンコ屋が悪い、俺はむしろ被害者だ、被害者の俺を責めるなんて、お前は悪い奴だなどといつもの言いわけをするが、さすがに叱りつけると激しく落ち込んでいる。死にたい、とかポツリともらす。
いらいらしたので夜勤で大介も帰らないし、睡眠薬を飲んで寝ようと思う映理。ところが、人間の屑、長介は激しく落ち込み家のカーテンに火をつけて自殺を図る。長介の頭の中では、これで自分が死ねば、映理たちに謝れることになっているのである。ところがめらめら燃える部屋の中で煙くなって、怖くなり真っ先に逃げる長介。近所の人が１１９番していて救急車が来る。多いに反省してる長介。映理は寝ぼけてあら近所で火事かしら、と窓を開けると消防車が止まってるのは自分の家の前だった。慌てて逃げようとすると外は煙だらけで出れない。そこに長介が助けにくる。長介は自殺しようと火をつけた、ごめんなさいと謝って反省してるが、さすがに限度を超えてぶちきれて怒鳴ると、逆ギレして映理を突き飛ばして気絶させる。子供だけ助けて出てくる長介。命の恩人の良い人、にいつの間にかなっている。映理は煙をかなり吸ったが、幸い火事はそんなにひどくなく部屋の中だけで消えて、消防士に助けられる。
病院でいつのまにか、命がけで子供を救った命の恩人になっていて、ずうずうしく威張ってる長介。ずっといるつもりだが、夫はむしろ家に妻だけでは心配なのでむしろ同居を感謝する始末。映理は義兄が自殺して火をつけて、自分を突き飛ばして殺そうとした、と主張するが、煙を吸いすぎて頭が壊れる後遺症のせいにされる。薬を打たれて安静になってしまう映理。火事の原因は仏壇の線香が倒れたせいになっている。
家がなおるまで近所に安い貸家を借りて住む彼ら。映理はマツキヨに買い物に行く。害虫駆除薬のゴキブリの絵が、義兄に見える。すっかりノイローゼの映理。ぶつぶつと「害虫め、害虫め」と独り言を言ってマツキヨでも異様に見られる。
家で食事。ずうずうしいことを言って歯をせせってる義兄。「害虫、出て行けッ！」映理は義兄が出て行くまで殺虫剤をかけ続けた。狂ったように笑う映理。義兄はこんな気違いのいる家には住めないと出て行ったという。
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