携帯ラブロマンス小説
サタンちゃんと幽霊野球
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 強風に吹き飛ばされて傘につかまったサタンちゃんが飛んでくる。
「地獄のプリンセス、サタンちゃんの登場だギャ」
 地面に降りる。そこは××学園の前だった。中のグランドから野球部の練習の音が聞こえてくる。サタンちゃんは中に入る。
 ××学園野球部。今日も鬼コーチがだめな部員をしごいている。失敗をした部員を殴りツバを吐きかけるコーチ。そういう目にあってるダメグループをあざ笑って見ている悪グループ。コーチいわく「負け犬は生きる価値なしッ!」「早く死ねッ!」コーチはダメグループをグランド一〇〇周させる。
 それを見てサタンちゃんも大笑いをしている。「いいようにやられているギャ。他人事だからかわいそうで笑えるギャ!」
 一〇〇周、走ったのですっかり暗くなった。ダメグループは鬼コーチのきびしさを愚痴る。夜中の不気味な校舎。ダメ連は数年前に自殺した野球部員の打者(イチロー)と捕手(バン)の噂を思い出す。ふたりはシゴキに耐えかね死んだのだ。「野球をやろうよ」と出るというのだ。おびえる彼ら。どこかから、カーンをいうボールを打つ音がする。ダメ連は気のせいですませ家路につく。しかしその彼らを見送る不気味な二つの影があった。「ホームラン……」その影はバットをもっていた。
 
 翌日も同じような展開でしごかれるダメ連。今日はデブが残される。夜になる。昨日の話を思い出しておびえるデブ。「野球をしようよ」とイチローとバンが出る。断ろうとするデブ。バットを振りかざし「そんなに早く幽霊の仲間入りをしたいのか?」と脅すイチローとバン。
「でもメンバーも球もありませんよ?」というデブにイチローとバンは「お前が球になるのだッ!」と吠える。デブの身体が宙に浮く。くるくる回るうちに人間ボールになる。いいようにイチローになんども打たれるデブボール。打たれるたびに苦しみの悲鳴をあげる。
 翌朝、グランドでボコボコになって倒れているデブを発見するダメ連。
「まるでバットで殴られたように?」するとデブは意識を取り戻し悲鳴を上げる。走って家に帰る。それからデブは二度と学校に来なくなった。
 それをアイスを食べながら見ているサタンちゃん。「第一の犠牲者だギャ」
 
 さらに練習でしごかれるダメ連。「根性の甘い肉々しいデブはリタイアした。まったくいなくなっても惜しくない。次はどいつだ?」と叫ぶコーチ。うさぎ跳び一〇〇周をやらされる彼ら。一〇〇周が終わると今日もすっかり夜になっていた。幽霊野球コンビの話を思い出して急に怖くなる彼ら。「デブはひとりで残されて幽霊に襲われたんじゃ」などと言い出す。そこにイチローが出てくる。
「まだ試合は終わってないぞ」
 悲鳴を上げて逃げる彼ら。逃げた先ではバンが待っている。
「試合は永遠に続くのだ!」
 彼らは校舎の中を逃げ回る。そこにサタンちゃんという小学生が現れて助けを申し出る。サタンちゃんは地獄のプリンセスらしい。
「父ちゃんから地獄のイメージアップのために人助けをしろと言われて来たギャ。仕方なく助けてやるギャ」信じない彼ら。そこでサタンちゃんは「地獄ステッキ、ゲロゲリゲー」と魔法を唱えて、彼らの一人をウサギに変えてしまう(最後までもとに戻らない)。信じた彼らは「助けて」とサタンちゃんにすがりつく。
 サタンちゃんは幽霊たちに話をつけにいく。そうしてスポーツマンらしく野球で勝負をつけることになった。彼らが勝ったら幽霊は成仏する。もし負けたら彼らは死ぬ。勝手に命をかけられてしまった彼らはおおいに文句を言う。しかしなぜかまじめな顔になったサタン「本当に命をかけてがんばれば誰でも限界を超えて強くなるギャ。お前らがダメなのはそれができないからだギャ」一見もっともな話なのでしゅんとする彼ら。
 試合開始。ぼこぼこに負ける彼ら。イチローとバンは絶好調。負けそうなのでサタンちゃんに泣きつく彼ら。
「ド根性薬!」というのを出して彼らに飲ませる。飲ませてからそれが、「ウジとミミズ、ムカデ、毛虫を生きたまますりつぶした薬だギャ」と明かす。ゲロを吐く彼ら。するとサタンちゃん激怒する。
「吐くな!」「勝ちたければこのゲロを飲むギャ!」「もし今、このゲロを飲めなければお前らは一生負け続けるギャ!」
サタンちゃんのエールに答える彼ら。「俺は勝つぞ!」一気に勇ましくゲロを飲み干す。「さっそくド根性がついてきたギャ」と笑うサタンちゃん。
 急にものすごい球を投げるようになった彼ら。三球三振の幽霊たち。ところが人類の骨格上の限界をド根性で越えて投げていたためうでの骨が折れる。苦しむダメ連にサタンちゃんはさらに「スーパード根性薬」を与える。「今度はウジ、ミミズ、ムカデ、毛虫に犬の糞まではいっているギャ!」うまそうに飲み干す彼ら。「まずくてうまい!」
 マウンドにあがる骨折した投手。あざわらうイチローとバン「骨が折れてるのに野球を続けるつもりか?」
 ところが骨が折れていた彼だが「うおおおおおっ」とド根性で力を入れたら筋肉の力でうでが起き上がる。「そんなばかな?」「信じられん。筋肉の力だけで折れた骨を支えているんだ!」図解する。骨がないので遠心力の力で普通の人間よりも腕が長くなりそのために人間には不可能な速さの球を投げることができるらしい。
 負ける幽霊ら。「わしらの負けだ!」といさぎよく負けを認める。「だが野球に負けたのではない。お前らのド根性に負けたのだ……」と余韻を残して成仏する。勝ちを喜ぶ彼ら。
 
 その後。この骨折投法を使って彼らは甲子園で勝ち進む。鬼コーチもホクホク顔。彼らをベタホメする。しかしこの投法には欠点があった。骨がくっついて来たら折らなくてはならないのだ。「ド根性」とトンカチでうでを折る彼。にやりと笑う。かつては馬鹿にしていた悪連中も彼を親しげに見ている。コーチ「それでこそ男だッ!」「お前は俺の仲間だッ!」と彼ら笑いたたえ合う。
 
 それをしらけた顔で見ているサタン。「バカみたいだギャ」と軽蔑する。「でも他人のことなんてどうでもいいので、問題が解決して満足だギャ!」
 再び、強風に乗り傘につかまり、いずことなく去っていく。
 
 
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