携帯ラブロマンス小説
笑う探偵 バージョン2
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 家。絵理奈と夫、忠彦の仲はすっかり冷め切っている。夫は絵理奈に無関心。欲求不満な絵理奈は忠彦に夜の営みを求めるが、やる気のない忠彦は、中折れしてしまう。さっさと寝てしまう忠彦。その横で絵理奈はひとり、オナニーにふける。絵理奈は大学時代はミス・キャンバスでみんなのアイドル的存在だった。そして、大学を卒業してすぐに、収入の良いエリート銀行員の忠彦と見合い結婚し、最高に幸せであっておかしくないはずなのに、まったく幸せではない。そんな自分を哀れんで悲しむ絵理奈。
 
 スーパーに買い物に行く絵理奈。途中でかわいそうな痩せた子猫がよってくる。むしゃくしゃしていた絵理奈は「汚い!」と足蹴にする。壁にぶつかって目に怪我をする子猫。去る絵理奈。子猫に近づく誰かの足のアップ。
 
 しばらくして。絵理奈は夫が浮気してるのでは、と疑い出す。ワイシャツの襟から、知らない女の香水の香りがしたのだ。夫がいつもセックスの途中で中折れするのも、どこかで発散しているからではないか? 
 
 数日後。絵理奈が地元の商店街を歩いていると、芸能人のような男が通りかかる。そのイケメンぶりに思わず心がときめいて、あとをつける絵理奈。雑居ビルの事務所に入る男。男は新しく引っ越して来た私立探偵だった。絵理奈は夫の浮気の調査をしてもらおうと思う。絵理奈は生活力がないので離婚する気はないが、夫には浮気を止めてほしいのだ。
 絵理奈は事務所の呼び鈴を押すが出ない。ドアノブを回すと開いたので中に入る。住居兼用の事務所のようだ。探偵は風呂に入っていて気が付かなかったらしい。探偵が全裸で絵理奈の前に出て来たので驚く。絵理奈は男の引き締まった身体や、股間のこわばりを見て、どきどきしてしまう。
 
 探偵の名前は浅野斗志郎。本当に芸能人をやっていたらしく、壁に切り抜きが張ってある。売れない俳優だったとか。絵理奈は調査費用が高いことに驚いたが、リッチなマダムで金はあったので、浅野に調査を依頼する。
 
 家に帰る。絵理奈は夫の浮気はどうでもよくなってきて、それよりも、また浅野に会える日が楽しみでならない。料理を作っていても気がそぞろ。テレビを見ながら今日も遅い夫を待ちながらビールを飲んでいると、浅野の身体や股間のこわばりが頭から離れなくなった。あの身体に抱かれたらどんな気持ちがするのだろう、と考えて悶々とする絵理奈。とうとうオナニーを始めて自分を慰める。
 
 浅野は会社から出てきた忠彦をつける。居酒屋で待ち合わせて、部下のOL、愛美と会っていた忠彦。近くの席で話を――録音しながら――聞いてみると、忘年会で酔っぱらった愛美をラブホに連れ込んでから、付き合いが始まったらしい、というありがちな関係だった。二人は近くの公園に行き、ベンチでフェラチオをしてから、木陰に行き青姦をする。それから愛美のアパートに行き、もう一回セックスをする。そのようすを赤外線カメラで撮影する探偵の浅野。
 
 浅野調査社。事務所。証拠の写真を見る絵理奈。絵理奈は愛は冷めていたと思っていたが、生々しい夫の浮気写真を見るとやはりショックは大きく泣いてしまう。それにつけ込んで、浅野が絵理奈を口説き始める。優しく肩を抱いて、一応拒む絵理奈に『夫に復讐してやりましょうよ。同じことをするんです』と言う。浅野に身を任せる絵理奈。初めての浮気だった。セックスをする二人。夫とは比べものにならない逞しい浅野の性行為に、かつてないエクスタシーを感じる絵理奈。一発で浅野に夢中になってしまう。しかし、こっそりとそのセックスのようすが、ムービーカメラに撮影されていた。
 浅野に夢中になった絵理奈は夫の浮気のことはどうでも良くなったので、追求しないことにする。(これでおあいこだし、勝手に浮気してればいいわ。あたしは斗志郎とうまくやっていくから)
 
 ところが浅野は夫を恐喝する。三〇〇万円で写真のネガを買わせる。その金を受け取ってから、サービスだと言って、自分の顔は写らないように加工した絵理奈とのセックス写真を夫に渡す。妻の浮気を知り驚く忠彦。
 
 絵理奈の家。忠彦と絵理奈は大げんかをしている。お互いの浮気を責めている。非常に醜い姿。忠彦は醤油瓶を絵理奈に投げつける。瓶は絵理奈の目にあたる。
 
 結局、ふたりは離婚してしまう。お互いに不倫をしていたので、慰謝料はいっさい出なかった。絵理奈はすでに両親も亡くなっており、今まで社会人として働いた経験もなかったので、たちまち貧窮する。貧しいアパートで生活保護を受け、世間に憎しみの言葉をひとりでブツブツ言いながら暮らしている惨状。貧乏生活でかつてのミス・キャンパスの面影はまったくない。浅野の事務所には、すぐ抗議にいったが、すでに引っ越したあとで、もぬけの殻だった。
 
 貧乏アパートで眼帯を外して鏡を見る絵理奈。片目はほとんど見えない。「あたし、こんなに美人なのに、どうしてこんなに不幸なの」と嘆き悲しむ。そこに浅野がやってくる。「落ちぶれたダメ人間の姿を眺めるほど、楽しいことはありませんねえ」と言う。「どうして、あたしを苦しめるの!」と訊ねる絵理奈に、浅野は上着の中に入れていた片目の子猫を見せる。どうやら、浅野は絵理奈が子猫を虐待するのを見ていたのだ。それで、偶然事務所にやってきた絵理奈を見て、子猫の復讐をしてやろうと計画し、それを遂げたのだ。子猫の目を指差し「これで、おあいこだね」。満足そうに鳴く猫。「人間の命より、かわいそうな動物の命のほうが大切ですからね」と浅野。愛猫家だったのだ。意外すぎる動機に愕然とする絵理奈。人生に疲れ切り怒る気力もない。笑う探偵。
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