傍に腰掛ける赤髪の少女が呟いた。 「好きかもしれない。」 大木に押し潰されて瀕死だった彼女を救って以来、妙に懐かれているとは思っていた。 弟と余り年齢の変わらない少女だから、オレを兄貴分として見ているのだと解釈していたが。 朱色に染まる其の白い頬を見た所によると、嘘でも冷やかしでも無いようだ。 「何を言うかと思えば…。」 しかし、酷だとは思わないか。 突き放せば良い。 オレがオレ自身の寿命の縮みを身を以て感じているのなら、尚更。 受け入れて愛でてしまえば、オレが死んだ後のこの子はどうなるのだろう。 容易に想像は付いた、が…。 「乱暴な口調と態度で隠しているが、本当は弱く女らしいお前の事を、オレも気に入っている。」 【可愛い多由也…、これが本当の、酷薄な告白だと思わないか?】 [▽追記][削除] 可哀想な事をしたな、と思った。 僕に懐く事によって、僕に撫でられる事によって、僕に抱擁される事によって、君は君自身のアイデンティティを持っているだろうに。 捨て駒でも無く、音忍でも無く、敗者でも無く、僕が君の全てという、自己認識。 其れが今此処に在る風景。 僕への好意や其の笑みは、僕のマインドコントロールによって創造されたもの。 僕の自己満足。 けど、何でだろう。 傷付く君を見るのは傷付く僕自身を見るのに等しかった。 なのに、幸せな君を見る事は必ずしも僕の幸せには直結しない。 酷似していた鉛色は何処へ? もはや、君と僕に共通点なんて無いんだ。 嫉妬。 君だけが鉛色から抜け出してー…其れも僕の心理的操作によって。 僕には虚像の笑みだけしか残らない。 ねえ、やっぱり、跪いた相手が悪かったと思わない? [▽追記][削除] 蛇から逃れても尚、君を縛る別の蛇は此処に居る。 …滑稽だよね。 笛を吹くと蛇が寄ってくるっていう迷信は、あながち間違いではないのかもしれない。 チャクラを練り込んだ墨で作られた真っ黒な蛇に絡め取られ、まるで蜘蛛の巣の餌食になった蝶のごとくー…羽は既に宙に舞って。 どうやら君は、蛇に縁があるようだ。 [削除] どうせ奴は人間じゃない。 ヒトとしての感情を捨てた、ただのマリオネットに過ぎない。 こんな風に、涙も出ない癖に。 「…てめェには人間の気持ちなんて分かんねェんだろうな。」 「お前こそ傀儡の気持ちは理解出来ないだろうが…。」 泣きたいのは、こっちだ。 [削除] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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